概ね6歳までに身につけておきたいと言われる「36の基本動作」。
前回は、「小川を飛び越える」子供の写真を例にお話をしました。
今回も「森のようちえん あおぞらきっず」の写真を例にお話をしたいと思います。
森のようちえんの活動敷地内には、大きな「栗の木橋」があります。
橋といっても川に架かっているのではなく、森の中にあるのです。
木を伐採した時、坂になっている場所にちょうど良く倒れたので、「これは面白い遊び道具になる!」と、枝の部分だけ切り落としてそのままに。
予想通り栗の木橋は大人気で、いつの年も子どもたちが集まってきます。
さて、またしても問題です。
「36の基本動作」を考えた時、「栗の木橋」では遊びを通してどのような動きが行えるでしょうか?
参考:http://sukuiku.com/toku/1802.html
「立つ」「歩く」「跳ねる」「這う」あたりでしょうか?
「栗の木橋」は十分な太さはあるものの、体育の時間などに使う「平均台」とは話が違います。真っ直ぐでも、ツルっとしてるわけでもないので、難易度大なのです。
慣れない子は、まず「怖い」と感じることが多いようで、一人で挑戦するのでは無くスタッフの手を取って歩くことが多いように感じます。少し慣れてくると今度は「自分でやってみよう!」となるのですが、最初から立って歩くことは難しく、「這う」動作に出るのです。「ハイハイ」ですね。
しっかりと重心を下において、しっかりと手の平と膝をつき、次の手足の置く位置を都度確認しながら、ゆっくりゆっくり…。
木ってこんなにゴツゴツしてるんだ…
真っ直ぐなようで真っ直ぐじゃない…
感触を通して、木の性質も何と無く気づきます。
「ハイハイ」で渡ることを繰り返し、重心やバランスが取れ自信がついたところで、次の段階「立つ」「歩く」動作へとステップアップする子どもたち。
「立つ」と目線が遠くなり、靴ごしの足裏の感覚を頼りに歩かなくてはならなくなります。滑ったり転んだりしたら…!?またしても、気が引き締まります。
こうやって、子どもたちは遊びの中で常に自分に試練を与え、それが達成させると「もっと難しいことを!」と試練を与える。それが繰り返されるのです。
一方通行で遊ぶときもあれば、両側から進行してくるときもある。
人一人分の幅しかないので、スピードが合わな時や交差する時は「早く行ってよ!」となることも…。
ハイハイや歩き始めの慣れない子は早く行けるわけも無く、泣いてしまったり、必死で分岐点の枝にしがみ付いて道を譲ったり。悔しい思いをしながらも、魅了される栗の木橋。こうやってみんな、段階を踏んで成長していくのです。
ちなみにすっかり慣れてくると、途中で自分できそうな高さから「飛び降りる」(「跳ぶ」)ことや、枝に「ぶら下がる」ことも。
飛び降りる時には着地時の足首や膝の柔軟性が必要になってきますし、必要に応じて手をつくことも。ぶら下がる時には腕の力、腹筋力など、あらゆる箇所の筋肉が必要となるので、結果、遊びながら総合的に体を使い、「バランス感覚」…「体幹」や様々な運動能力が自然と高められていくのです。
そういえば、最近転んだ時にとっさの手が出ずに顔から着地してしまう子が増えているとか…。これには、「ハイハイ」の運動期間の現象が一因とも言われています。家の縮小化などに伴い、ハイハイできる十分なスペースが足りなかったり、早く立たせたいという大人の気持ちが先行してしまったり、色々あるようですが…ハイハイをして腕の筋肉をしっかりと鍛えることが重要だそうです。
乳児期に十分にハイハイができてなかった…とヒヤッとしてしまった方。今からでも遅くはありません。遊びを通して、まだまだ「ハイハイ」は楽しめますよ!
「遊ぶ」をたくさんしよう!
*「あおぞらきっず」では、自然の中での様々な活動を通し、お子様の健康な体づくりも応援しています。
「危ないからやらないで」ではなく、お子様の挑戦する姿、考える力を大切にお子様の発達を見守っております。